洗濯バサミに関する悩み
このところ、「洗濯バサミ」のことで深刻に悩んでいます。「洗濯バサミ」のことで、具体的に何に悩んでいるのか、といえば、本サイトの性格を考えると、洗濯に関することではないであろうことは容易に推察していただけると思います。そもそもの悩みが何たるかは後述するとして、当初の悩みを発端として、「はさみ」という名詞、「はさむ」という動詞について、あるいは洗濯バサミの英語表現などの思索にハマリ込んでいきました。今回は、洗濯バサミやクリップなどの表現について考察します。
そもそも「はさみ」とは?
皆さんも、洗濯バサミのことで、ふと疑問に感じたことはないですか?
洗濯バサミと紙切りバサミ、両方とも「はさみ(ばさみ)」とは言うものの、片方は物を切るための用具で、他方は切るものではなくハサむもので両者は明らかに別概念。では、どちらが語源的に正しい用法なんだろうか。「はさみ」という物体は切る用具を意味するし、一方で、「はさむ」という動詞は、まさしく物をハサむことであって通常、切るという意味では用いられないし…。
コダワリの強い管理人は、このようなことを考え始めると、夜も眠れなくなってしまいます。そこで、安心して夜眠れるよう、リサーチしてみることにしました。
まずは、権威ある「広辞苑」で、「はさみ」と「はさむ」の2語を調べてみました。
- はさみ(挟み、挿み)
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はさむこと →はさみ(鋏)
- はさみ(鋏、剪刀)
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①二枚の刃で挟むようにしてものを切る道具。切符などに穴をあけるパンチのこともいう。
②節足動物のカニ・サソリなどの脚のはさみに似た部分。これを持つ脚を特に鋏脚あるいは鉗脚という。
③(じゃんけんで)二本の指を伸ばした形。ちょき。 - はさむ(挟む)
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①物と物の間にさし入れて両側から固定する。物と物との間に入れて落ちないようにする。
②中間の位置に置く。間に入れる。
③持つ。所有する。 - はさむ(鋏む、剪む)
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(挟むの転義)鋏で切る。はさみきる。つむ。
これらの記載からは、
- 「はさみ」や「はさむ」という用語には、物が落ちないようにする・固定する(もの)と、物をチョキチョキ切る(もの)、の2つの意味がある
- 前者は漢字では「挟」や「挿」が用いられ、後者は「鋏」や「剪」が用いられる
- 語源的には、前者が元々の意味で、後者は前者から転じたものである
ということが判ります。
次に、別の辞書で、チョキチョキ切るほうのはさみ(鋏)の語源・由来について調べたところ、次のような記載がありました。
- はさみは、二枚の刃ではさんで物を切る道具のことで、動詞「挟む(はさむ)」の連用形が名詞化した語。
- はさみの漢字「鋏」は、金属を表す「金」と両側からはさむさまを表す「夾」の会意・形成文字。
- 元々は、鍛冶で熱した金属を挟むのに用いる「金鋏(かなばさみ)」の類を意味した漢字である。
なるほど、元々は、チョキチョキ切るのではなく、切らないで物をはさむことが、はさみの原義であることが確認できました。洗濯物をチョキチョキ切るためのものではなく、落ちないよう挟み付けて固定するための器具のことを「はさみ」と表現することは、語源的に正統な用法だということです。
ちなみに、チョキチョキ切るほうのハサミは、世界文明史的には、裁縫で用いる和バサミが歴史的に初期の使用形態であり、現在一般に用いられているいわゆる洋バサミが登場したのは時代がずっと進んでからのことのようです。ハサミの工芸史・文化史は、それはそれで面白そうなテーマですが、今回の記事とは無関係なので、これ以上言及するのはやめておきます。
ところで、「洗濯挟み」は「せんたくはさみ」ではなく「せんたくばさみ」と読み方をしますが、これは言語学的に連濁と呼ばれる変音現象です。チョキチョキ切るほうのハサミについても、「裁ちばさみ」や「剪定ばさみ」のようにと連濁するのが一般的です。けれども、「布切りはさみ」は連濁しないのが一般的です。この理由が釈然とせず、色々調べていますが、なかなか解決しません。だけど、ここで煮詰まると先に進まないので、先に進めます。
洗濯バサミで皮膚などを「挟む」という表現への違和感
さて、洗濯バサミの一般的な用途としては、名前のとおり、洗濯物を挟(はさ)む、すなわち、洗濯物を洗濯バサミで挟みつけて落ちないようにする・留め置くために用いられていることは自明のことです。
一方で、洗濯バサミは、洗濯以外にも様々な用途で用いられることがあります。洗濯バサミ健康法と言って、洗濯バサミで指を押したり、耳つぼを刺激するリフレクソロジーの流派も存在します。あるいは、本記事の本題であるところの、SMプレイなどで、乳首や乳房などを摘まむために用いられることがあります。
本格的なSMビデオでは、洗濯バサミを多数用いて、乳房のみならず腹部や陰部など体の各部位を摘まむシーンを時々見かけます。また、SMものではない、ごく普通のAVでも、両乳首を洗濯バサミで挟み付けるシーンは珍しくありません。
本サイトでは、乳首や乳房を挟み付けた洗濯バサミを鞭で叩き落したり、引っ張り外したりするシーンのあるAV作品を今後、順次紹介していく予定ですが、冒頭に述べた管理人の悩みとは、洗濯バサミを用いたプレイ・責めのことを記事タイトルや見出しなどで、どのように表現するのが適切だろうか、ということを、このところずっと考え込んでいました。
ちなみに外科手術では、コッヘル、ペアン、モスキートといった名称の、一見、ハサミとよく似た形状の医療器具が用いられます。これらにはチョキチョキ切る刃は無く、血管や組織片を「把持」したり「圧挫」するための鉗子です。医療で用いる鉗子は、組織片がズリ落ちないようしっかりと固定して保持するためのものなので、組織片を「挟む」という表現で違和感はありません。けれども、乳首や乳房の皮膚を洗濯バサミで「挟む」という表現は、しっくりきません。
それに、「洗濯ばさみプレイ」とか「洗濯バサミ責め」といっても、なんだか間が抜けています。「ドアで指を挟む」などの文脈で非意図的に「指を挟む」という用法は一般的ですが、洗濯バサミで意図的・能動的に皮膚など体の一部分を「挟む」という表現には、どうも違和感があります。何故なら、「挟む」は、物が落ちないようにする・固定するというのが本来の意味ですが、例えば、洗濯バサミで乳首を「挟む」といっても、乳首が落ちないように固定する作為ではないからです。語感として、洗濯バサミで乳首を「つまむ」「挟み付ける」といった表現であればしっくりくるのですが。
このようなことから、洗濯バサミという用語を用いず、これに代替する責め・プレイを表現する名称について、以下のように検討を進めました。
洗濯バサミの英訳は?
実は、英米では日本のように洗濯バサミを常用することは一般的ではありませんが、英国ではpegとかclothes-peg、米国ではpinとかclothes-pinという表現が用いられます。「洗濯バサミで鼻をつまむ」ことを英国では、「put a clothes peg on one’s nose」と表現します。
ちなみに、pegは、くぎ、(テントの)くい、(楽器やチェンバロなどの)糸巻き、調律ペグ、ゴルフ用語でティーペグ、野球用語で外野手からの送球、経済用語でペッグ(市場操作によって商品価格・株価・為替レートを安定させること)、医学用語で経皮内視鏡的胃瘻造設術(胃瘻をつくること)の意味で用いられることがあります。
他方、pinは、記章、ピンボール、飾りピン、ピンバッジ、ゴルフのピンフラッグ(旗竿)、チェスのピン・アップ(釘付け)などの意味で用いられています。また、俗語としては、脚や足の意味で使用されることもあります。
したがって、「乳首ペグ責め」「乳首ピン責め」という表現を用いたとしても、洗濯バサミで挟み付けるプレイをイメージされるとは限らず、代替表現として必ずしも適切ではありません。
洗濯バサミはピンチとも表現される
洗濯バサミのことを、「ピンチ」と表現する人もいます。洗濯バサミをたくさんぶら下げた洗濯用具は「ピンチハンガー」と呼ばれています。100均の雑貨コーナーには、「ウッドピンチ」という名称で、木製の洗濯バサミが置いてあります。実際、ピンチ(pinch)には、「~を挾んで締めつける、つまむ、挾む」という意味があります。しがって、「乳首洗濯バサミ責め」の代わりに「乳首ピンチ責め」という表現を用いることも一つのアイデアです。
しかしながら、ピンチには、「窮地、苦しい状況、危機」という意味もあり、日本ではむしろこちらの意味で用いられることのほうが一般的で、ピンチに挟むという意味があることを知らない人もいます。このため、「乳首ピンチ責め」という表現では、洗濯バサミを用いたプレイであると理解されない可能性があります。
「ペグ責め」や「ピン責め」、あるいは「ピンチ責め」といった表現では、「洗濯バサミ責め」の代替にはならず、別の表現はないか、とさらに思索を続けました。
はさみ/はさむと同様奥深い単語、クリップ
日常生活では、様々なリップが用いられていますね。少数の紙を留めるゼムクリップ(写真上左)、比較的分厚い紙などを留めるダブルクリップ(写真上中央)、持ち手部分が大き目で穴の空いた目玉クリップ(写真上右)、冷蔵庫や金属製の棚にくっつけるマグネットクリップ(写真下左)もおなじみですね。髪の毛を留める小物はヘアクリップ(写真下中央)です。
目玉クリップとは逆に、持ち手部分ではなく挟み付ける部分の内側丸みをつけ、目玉ように見えるクリップもあります。これは、農家やガーデニングをする人にはお馴染みですが、誘引クリップ(写真下右)と言って、茎(形成層)を傷つけないよう配慮しつつ、植物の茎やつるを支柱結びつけるために活用されています。
英語圏でも、日本と同様に、留め具や物を挟み付ける用語のことをclipと呼称しています。従って、「乳首クリップ責め」という表現を用いると、日本でも英語圏でも、洗濯バサミで挟み付け乳首を痛みつけるプレイとして意味が通じやすいと思われます。
「洗濯バサミ責め」の代替表現として、「クリップ責め」で確定しようと思いつつ、言葉遣いにうるさい知人に念のため確認しました。すると、clipの語は、挟み付ける、留め置くというニュアンスよりも、「切り取る」というイメージのほうが強いというではないですか。
具体的には、新聞や雑誌などの切り抜き、映画などのカットされた場面(ビデオクリップ)、刈り込まれたヒツジ毛、刈り取り、剪定、植木バサミなどの意味でclipの語を用いるのが一般的とのことでした。バリカンや植木バサミ、爪切りバサミのことをclippersとも表現するようです。
このように、「刈り取る」「切り取る」がclipの原義であるけれども、転じて留める、取り付けるという動詞、留め具などの名詞としても常用されているとのことです。
クリップボードというと、パソコンでは、カット・アンド・ペーストやコピペしたデータを一時保管する領域のことを指して用いられます。このため、クリップボードの「クリップ」は切り取るという原義に由来すると見なされがちですが、元々は、日本語でいうところの用箋挟(ようせんばさみ)のことです。用箋挟といっても通じないかもしれませんが、回覧板台紙として用いたり、プリントを挟むバインダーのことです。
すなわち、クリップボードの「クリップ」は、切り取るという原義ではなく、挟み付けるもの、留め置くためのもの、という意味合いで用いられています。
ここで興味深いことに気づきました。日本語の「はさむ」「はさみ」という語と、英語のclip(クリップ)の類似性です。どちらも、チョキチョキ切る(カットする)(もの)という意味と、落ちないように留め置く(もの)という両方の意味合いで用いられているということです。日本語のほうは、落ちないように留め置く(もの)が原義で、チョキチョキ切る(カットする)(もの)は転用であり、逆に英語のclipは、チョキチョキ切る(カットする)(もの)が原義で、落ちないように留め置く(もの)のほうが転用のようですが。
おわりに
ということで、ダラダラと書いてきましたが、「洗濯バサミ責め」という表現の代用として、「クリップ責め」と表記することが適切であり、「乳首を洗濯バサミで挟み付ける」ことを「乳首を洗濯バサミでクリップする」と言い換えることが妥当であることが確信できました。
本サイトでは今後、洗濯バサミで乳房や乳首を挟み付けた上で、洗濯バサミを鞭で叩き落したり、紐で引っ張って外すシーンのあるアダルト・ビデオ作品を逐次紹介していきます。その際、これらのプレイ・責めのことを、「乳房(乳首)クリップ鞭落とし」とか「乳房(乳首)クリップ引っ張り外し」と記載します。同様に、乳房のみならず、乳房を含め体の様々な部位を洗濯バサミで挟み付け、鞭で叩き落したり、紐で引っ張って外す責めのことを「大量クリップ鞭落とし」や「大量クリップ引っ張り外し」と表記するようにします。読者各位におかれてはご了知いただくとともに、作品紹介記事にどうぞご期待ください。
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